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TOKYO SUSTAINABLE FINANCE WEEK東京・サステナブル・ファイナンス・ウィーク 2022

第1回 若者向け金融セミナー アーカイブ動画配信中

FinCity.Tokyoでは、令和4年9月10日(土)に、「若者向け金融セミナー」の第1回目を開催いたしました!
司会にはAKB48の武藤 十夢さん、講師には株式会社国際社会経済研究所理事長の藤沢 久美さん、農林中金バリューインベストメンツ株式会社常務(CIO)の奥野 一成さんにお越しいただきました。
当日は、「『お金』って何?」をテーマに、若い人に今考えていただきたい大事な投資とお金の知識について、とことん議論していただきました!

今回は当日の様子をお伝えするべく、アーカイブ動画を公開いたします。見返したい方、見逃してしまった方はぜひこちらからご覧ください。

目次


5:00…オープニング~1時間目:講義「お金の役割を考えよう(藤沢講師)」
43:05…2時間目:藤沢講師とのディスカッション
1:07:18…3時間目:講義「教養としての投資(奥野講師)」
1:51:57…4時間目:奥野講師とのディスカッション

講義資料

「お金の役割を考えよう」(藤沢講師)

「教養としての投資(奥野講師)

テキストで概要を読む

若手社会人や大学生の金融リテラシー向上を狙いとする、東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)主催セミナーの第1回目。

講師役はNECグループの国際社会経済研究所で理事長を務める藤沢久美氏と農林中金バリューインベストメンツの奥野一成常務・最高投資責任者。
ファイナンシャル・プランナー資格を持つAKB48の武藤十夢さんによる若者目線の司会で、お金の役割や投資について視聴者からの質問への回答も交えてセミナーが進んでいった。

藤沢氏は投資運用会社を経て日本初の投資信託の評価会社を27歳で起業。その後は各省庁の審議委員や上場企業の社外取締役として活躍する一方、幅広い年代層に経済やお金の知識をやさしく伝えている。
藤沢氏は「なぜお金が必要なのか」「お金の役割は何か」という、お金の本質の話からスタート。
「お金と時間はとても似ている」と指摘し、予定を立てて1日の過ごし方を考えるのと同じように、お金の使い方を考えてみることで自分の人生を考えることができると説いたうえで、「100万円あったら何に使うか」を書き出す作業を勧めた。
また、お金の使い道を「自分のため」「誰かのため」に分けて考えることを提案。
「自分のため」のお金については、「どんな仕事をしたい」「どこに住む」「どんな暮らしをしたい」など盛り込んだライフプランを書き、人生のどの段階でお金がいくらかかるかを知ることを勧めた。
「誰かのため」のお金について藤沢氏は「お金は使った瞬間からつながりを生み出している」と述べ、「お金がどこに流れていくかを知ることで、私たちも未来づくりに関わることができる」と説いた。

投資では、武藤さんは「応援したい会社がないか調べたりすることが好き」と話し、個別企業の株式への投資に強い関心を示した。武藤さんが「環境にやさしい、人にやさしい企業は長い目で見て続く企業になると思っている」と話すと、藤沢氏は「素敵ですね」と応じた。
藤沢氏は株を買うことには「いい企業を応援する役割がある」とし、企業が投資家から集めた資金を元に世の中に役立つことをすれば、その会社の株を持ちたくなる人が増えて株価が上がるというメカニズムを紹介。投資は儲けることだけが目的ではなく、「良いことをしている企業を応援する究極の形だ」と、個人の利益を越えた社会的な意義を強調した。
起業家でもある藤沢氏は1円から起業できることを紹介。「おなかの空いた人にレストランがごはんを提供しているように、すべての事業は困りごとを解決することでお金をもらっている」と指摘し、身の回りの困りごとの解決策を探る中に起業のヒントがあると述べた。

藤沢氏と武藤さんとのディスカッションでは、「生活費がぎりぎりでお金が消費にしか回せていない」という大学生の悩みに対して、藤沢さんは「ポイント投資」を紹介した。ネット通販などで付与されたポイントを自動的に投資に使える仕組みがあり、藤沢さん自身も1円からできるポイント投資で、米国株や世界中の株式に投資していると話し、武藤さんは「今持っているお金だけが全てではない」と応じた。
次に「削ってはいけないお金の使い方」を問われると、藤沢さんは「資格取得など自分の未来を広げていくためのお金はケチらない方がいい」と即答。武藤さんは気象予報士の資格取得に「5年勉強して8回目の試験でやっと受かった」と振り返り、「勉強するため、知識をつけるためのお金は大事だと思う」と力説した。藤沢さんは「(資格取得などに)お金を払ったら、むだにしたくないという思いが強くなる」と指摘し、「自分への投資は自分さえ意識をしっかり持てば、損をするリスクはどんどん小さくなる」と述べて、若者に未来の自分への投資を呼びかけた。

藤沢氏に続いて登場したのが農林中金バリューインベストメンツの奥野一成氏。4000億円規模の資金をプロの機関投資家から預かって運用するとともに、個人も買えるように投資信託として売り出している。奥野氏は運用で資産を増やすだけでなく、投資を通じて経済や思考方法を学び、ビジネススキルもレベルアップさせるよう個人投資家に呼び掛けてきた。
セミナーでは「教養としての投資」をテーマに講演した。奥野氏は短期的な株価の変動に一喜一憂するのは投資ではなくギャンブルであり、「ギャンブルで資産形成するのは不可能だ」と断言した。5000万円で農地を買うケースを想定し、農地で作物を育てて収穫して利益を得るのが投資で、農地を高値で転売するのが投機だとして明確に区別。そのうえで、投資は作物を育てるように「時間がかかり、苦労もある」と運用の専門家としての実感を披露した。

また、奥野氏は株式を買って株主になるのは企業のオーナーになることだとスポーツ用品大手の米ナイキを例に挙げて説明。企業の利益は顧客の問題を解決した結果であり、ナイキは高機能のスポーツシューズがレースに勝ちたいという顧客の問題を解決しているので、高い利益を上げ続けているとの見方を示した。その上で、企業が利益を上げ続けるうちに問題が解決され、「社会もちょっとずつ良くなっている」と、投資の持つ社会的な意義を熱く語った。
その上で奥野氏は視聴者に対して、事業の成長性を見極める投資家の視点を身に付け、働き方を見直すよう提唱した。奥野氏によれば、他人に働かされ、自分の時間を売り、投資はしない状態が「労働者1.0」。自分で働き、自分の才能を売り、自己投資で自分の才能を高めていく「労働者2.0」へのステップアップを目指してほしいと語った。
奥野氏は若者にとって「時間」が最大の資産だと指摘。物事を「自分と他人」「過去と将来」の2つの軸で評価し、自分がコントロールできる「自分の将来につながること(=有能の境界)に貴重な資産である時間を集中的に投じること」を提案した。
奥野氏はお金の三原則として「短期的にもうかる話は100%ない」「お金は問題解決で得られる『ありがとう』の印」「自己投資こそ最高の投資」を示すと、武藤さんは「お金だけでなく人生について考えさせられた」と述べ、「たくさんの人から『ありがとう』と言われる人になるよう頑張ろうと思った」と感慨深げだった。

奥野氏と武藤さんのディスカッションでは、「自分にどのような才能があるか分からない」との視聴者の悩みに対して、奥野氏が「自分の好きなことに打ち込んでください」と回答し、「好きなことじゃないと続かない。得意なことを探す前に好きなことに打ち込んでください」とアドバイスを送った。武藤さんも奥野氏の話にうなずき、「自分に得意なものがない頃に何に打ち込んだらいいか考えていた。自分の好きなことをして、自分の達成したいラインまで頑張ることが楽しく生きるコツなのではないか」と感想を述べた。
経済の先行きが不透明な中で、投資先をどう選び、リスクをどう回避すべきかとの問いには、奥野氏は「気にすることはない。本当に強い企業はコストが上がっても値上げできる」と明快に答えた。
奥野氏は、日本の物価が長年頭打ちである一方で、東京ディズニーリゾートの1デーパスポートが9000円前後と1983年のオープン当時の4000円台から大幅に上がった事例を紹介。値上げ成功の理由として「値上げがあってもディズニーに行きたい、ディズニーに行かなければデートができない」と消費者が思うほど高い付加価値があるからだと解説。武藤さんは「ディズニー大好きで、9000円払ってもいく」と応じ、奥野氏の説明に納得していた。
このように、足元の物価高騰が続く中、株式はインフレに耐性があるとされることを踏まえ、値上げできる強い企業への投資は「もうかるかどうか分からないが、ひどいことにならない」との見方を示した。

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